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BLOG わたしの想い

わたしの点と線〜今の自分は全然わかっていない

いきなりですが、私には「プロセス味わいたがり気質」みたいなものがあります。
何かに取り組むとき、ただ物事をこなすのではなく、楽しんでやりたいなーと思いがちということです。

それから、「世の中的な正解は知らんが、自分の納得できることをやりたい」という、頑固者気質もあります。

だから、新しいことを始める時は、それが自分にとって納得感のある面白そうなことであれば、大きな決断であっても大胆に迷いなく始められます。
逆に、楽しめなさそうなこと(ちょっとやりたくないこと)はずっと着手できないことも…

体を鍛えることは、運動嫌いの私にとって、ずっと着手できていないことのひとつです。
何度も自分がコーチングを受ける時のテーマにしたことがあるのですが、なかなかうまく行かず。
だって、楽しいイメージを全然思い描けないですもん。全然やりたくないんです。
でも、とうとう自分の中での体を鍛えることの重要性の上昇を感じたので、この件に関しては「楽しいを捨てる」という決断をしました。笑
お仕事モードで、割り切って効率的にやっていきます!

コーチングを始めたばかりの頃の話

この「楽しいを捨てる」ということから、ふと思い出したのは、コーチングを始めたばかりの頃のこと。
今思えば、始めたばかりの頃、コーチングをすることは全然楽しくなかったなー、ということです。

そもそも私は、クライアントとしてのコーチング経験のない状態で、「よし、プロコーチになろう」と決めたんです。
我ながらちょっと信じられないですけど。笑

2019年のことですが、私はただ、仕事を変えたいと思っていました。
もともと、東京のベンチャー企業で会社の数字を管理するような仕事をしていました。
月次、四半期、年次の決算スケジュールに合わせて動く、ロジックと正確性と専門知識を求められる、変化スピードの早い仕事でした。
それなりに面白くやっていたのですが、忙しすぎたり、自身に合っていないと感じていたり(数字や正確性が苦手‥)、他にもこのままではいけないなーと思うようなことがあったりして、
個人でいつでもどこでもできる仕事、自身の感性やコミュニケーションを使う仕事、自分の人生経験が糧になっていくような仕事をしたいなーと思っていました。

そういう仕事って何かな?といくつかリストアップしてみた中に、「コーチング」があったんです。
実際に受けたことはなかったけれど、コーチングというものがあることは、セミナーなどで知っていたんですね。
そしたら、たまたま前職の社内にプロコーチの方がいらして。
それまで個人的にお話したことはなかったんですが、「コーチングに興味あるのでお話聞かせてください」とお願いしたら、快くご対応くださって。
その時の傾聴っぷりや温かいあり方に「こんな人がやっているコーチングは良いものに違いない」と思い、「よし、プロコーチになろう」と決め、その後すぐにコーチ・エィ アカデミアというコーチングスクールに申し込みました。
たまたまそんな方に巡り会えるなんて、改めて、本当に自分はラッキーな人間です。
だから、先に魅力的なワークショップデザイナーに巡り合っていたら、きっと私はワークショップデザイナーになっていたんだと思います。
それぐらいの動機で始めました。

それが、2019年の秋から冬にかけてのことです。
コーチングがどんなものなのか、自分がどんなコーチになりたいのかもわからないなか、「プロコーチになる」という決意だけ握りしめて、とにかく目の前のやらなきゃいけないことに取り組んでいました。
始めたばかりの時は、会社の仕事をしながら、早朝や昼休みにスクールの勉強をし、その隙間でクライアント候補を見つけてセッションをさせてもらうという目まぐるしい日々で、過労による風邪から声帯炎になり、1ヶ月くらいまともに声が出なくなったほどでした。
その後、会社を辞めてからは時間的余裕はできましたが、コロナが起きたり滋賀に引っ越したりと、環境面での大きな変化がありました。
そんな変化に一生懸命適応しながら、ただ粛々とコーチングを学び、セッションをしていました。

今思えば、その頃、コーチングをすることは全然楽しくはなかった。
もちろん、嫌々やっていたってことじゃないですよ!
クライアントさんの話は興味深く、新しい知識やスキルを学ぶことも面白かった。
でも、「コーチングをする」という意味で楽しいと感じられるようになってきたのは、始めてから1年ぐらい経ったころだったと思います。

やっぱり、コーチングの楽しさをわかるまでに時間と経験が必要だったということだと思います。
最初は「こうやってみましょう」と言われたことを、自分なりに一生懸命やっているだけですから。
その時に、自分がどんなことを感じているのか、自分の中でどんなことが起きているのか、相手はどうなのか、自分と相手の間だとどうなのか。そういうことを感じる余裕がないですから。
だから、この「全然楽しくなかったな」というのも「今思えば‥」の話ですね。そんな楽しさがあるという事自体、当時はわかっていないわけですから。
ただ、メンターコーチやコーチングクラスでのフィードバックから「自分は成長しているらしい」と感じたり、クライアントの方の様子から「それなりに役立っているようだ」と感じたりすることが、続けていく力になったように思います。
あとは、払った学費ととりあえず決めた目標(プロコーチとACC)も、「まずはそこまではやってみよう」と思わせてくれたものだと思います。

今は、コーチングをすることは、とても楽しいです。これからも、もっと楽しくなっていく予感があります。
同時に、コーチングというものも、興味深く面白いです。
クライアントさんたちは素晴らしく、周囲のコーチング界の方々は温かく尊敬できる方ばかりです。
コーチングというものが自分にあることによって、これから広がっていく他の可能性も感じています。
本当に始めてよかったなと思っています。

だから、今だから思うことは、「よくわからなくても始める」とか「楽しくなくても続けてみる」ということは大事だなということです。

私の中にある点と線

時々「Connecting the dots」のことを考えます。スティーブ・ジョブズの有名なスピーチです。

You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.
So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. 
You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. 
Because believing the dots will connect down the road, it gives you confidence to follow your heart; even it leads you off the well-worn path. And that will make all the difference.

先を見通して点をつなぐことはできない。後から振り返ってつなぐことしかできない。
だから将来何らかの形で点がつながると信じることだ。
何かを信じ続けることだ。直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。
なぜなら、点と点がつながって道になると信じることは、自分の心に従うための自信になるからだ。たとえそれで人並みの道から外れたとしても。
そのことが大きな違いを生むだろう。

間違いなく、コーチングは私の点です。
何の保証もなく、ろくな計画もなく、直感にしたがってエイッと踏み出した点です。

コーチングが楽しいと感じられるようになってから、「あれ?これと同じ感じ、知ってるかも」と感じることが出てきました。
過去に自分が興味を持って取り組んだこととの、共通項に気づくようになったのです。
そうすると、自分の中の点たちが線としてつながってきました。

そのことによって、私にとってコーチングは、ますます面白く興味深いものになってきました。
自分の中のコーチングの意味が、他の点とのつながりによって変化しています。

それに気づくことは、確かに私に自信を与えてくれていると思います。
まずは、私の中にはすでに多くの点があるのだということ。
そして、自分は確かに正しい道を進んでいるのだということ。
そういうことが、私に自信を与え、新たな点へと踏み出す背中を押してくれます。

今の自分は全然わかっていない

ここまで書いてみて改めて思うことは、今の自分は全然わかっていないということです。
これから起こることも、すでに自分の中にあるものも、それらから立ち上がる意味も、です。

コーチングを始める前、コーチングがどんな点なのかも、何につながるのか、それがどんな道になるのか、全然わかっていませんでした。
たぶん、今も、まだまだ全然わかっていないのでしょう。

何かを始める前にわかったつもりになっていることなんて、本当に大したことないもんです。
コーチとしてクライアントと関わる中でも思うことですが、
今わかっている理想や恐れなんて、今の自分に想像できる範疇でしかありません。
実際に進みだして、変化して成長すると、最初に描いた像なんてどんどん超えていってしまう。
それは、今できる想像の範疇を遥かに超えたものなのです。

その想像を超える部分が可能性です。
今の自分は全然わかっていません。
だから、可能性もそれだけ広がっています。

さて、ここまでの流れから、冒頭の私の体を鍛えることを考えるとどうなるんでしょう。
楽しいとか楽しくないとかグダグダ言ってるけど、とにかくやってみなはれってことでしょうか。
そして、やってみたら、少なくともその点がくっきりはっきりするまでは続けろってことですね。
本当の面白さがわかるのは、それからなのでしょう。

書きながら、なんだか自分に巨大なブーメラン飛ばしてるなーと思いつつ、とりあえず、プロテイン買ってジムの体験申し込みました〜!

自分の中にある点に気づき、そしてそれらをつなげるために、コーチングはいかがでしょうか?

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BLOG うつろう風景

足し算の時間、引き算の時間

すっかり春めいてきましたね。

2月の終わりから3月頭にかけて、寒いし、2回も転ぶし、奥歯は折れるしで散々だったのですが、最近は急速にウキウキ感が高まってまいりました。
あたたかい陽射しを浴びることが、こんなにただただ嬉しいなんて、雪の降る地域で暮らすまで知らなかったことです。

3日ほど前までは「あれ?ひょっとして花粉症治ったんじゃない?」なんて思っていた私ですが、今は岩清水のように湧き出る鼻水と共に暮らしています。

春の琵琶湖。ボートで釣りをしている人をよく見かけます。

さて、今日は、最近よく考える時間の捉え方のことを書いていこうかなと思います。

「終わらせないでいられる」才能

先日、コーチングの勉強会で、ギャラップ認定ストレングスコーチからストレングス・ファインダーについて学ぶ機会がありました。

ストレングス・ファインダーとは、自身の強みのもとを診断できるツールです。
その強みのもとは34の資質に分類されていて、診断を受けると、自分の持っている資質の順位を教えてくれます。

私の場合はこんな感じ。

34の資質は、実行力、影響力、人間関係構築力、戦略的思考力という4つのグループに分けられます。

私の上位資質には人間関係構築力が多くて、これらの強みを使ってコーチングしているんだなとは思っていたんですけど、先日の勉強会では、また違う気づきがありました。

そこでは、参加者7名の資質を上位からズラッと並べた一覧表をシェアしていただいたんですが、他の方たちの結果と比べてみて、
「私、こんなに実行力がないのって、もはや才能じゃない?」って思ったんです。
はい、ポジティブ発揮してます。
だって、こんなに上位に実行力の資質が少ない人、他にいなかったんです。笑

実行力って、「終わらせたい」才能なんですって。
だから、私は終わらせなくても平気な人とも言えるのかもしれません。
「終わらせないでいられる」才能の持ち主として開き直って生きるのもありなんじゃない?と思ったとき、思い出した出来事がありました。

タロットが教えてくれた、自分らしくないやり方

この勉強会の少し前のことですが、コーチング仲間がタロットを使ったコーチングを始めたので、試しに受けさせてもらいました。
タロットって初めてやったのですが、今どき、アプリでできちゃうんですね!びっくり。
その方は、コーチング×無意識的コミュニケーション×タロットの組み合わせでやっていて、テーマを決めて、カードを引いて、その内容を読み解いてもらい、それに対して感じたことを話しながら色々なことに気づくという体験でした。

その時の私のテーマは「4月からのスタートを迎える上で障害が有るのか」。
「障害」というのは「タロットってどんなテーマに向いてるんですか?」という話の中から出てきた言葉だったんだけど、それがわかれば4月に向けての3月の過ごし方がはっきりするかなーと思っていたんですね。

結果、話してみてわかったことは、「3月/4月って、バチッと区切ろうとしなくていいんじゃない?」ってこと。
4月を迎えるために3月をバチッと終わらせなくちゃいけない気がしていたけど、そのやり方が合っていないから、なーんかモヤッとして無駄に色々考えちゃったのではないかと。
自分に合わないやり方でやろうとしていたことに、違和感が生まれていたのかもしれないですね。

この「先を見据えて、今やるべきことを判断する」というやり方が、なんとなく「良いやり方である」と、自分の中に刷り込まれているような気がします。
でも、これって、「終わらせる」ことを目指すやり方だと思うんです。

もちろん、それが必要だったり有効だったりするシーンはあるし、私の中にもそういうやり方で対応する事柄も多々あるのですが(確定申告とか)、
私は「終わらせないでいられる」才能の持ち主なので!
その必要がない時は、そういうやり方を選択する必要はないよなーと改めて思ったのでした。

足し算の時間、引き算の時間

「足し算の時間、引き算の時間」という言葉を、最近よく思い出します。

これは「ポストコロナの生命哲学」という本で美学者の伊藤亜紗さんが書いていたのですが、もともとレビー小体型認知症の樋口直美さんがお話されていたことだそうです。

引き算の時間というのは、ゴールを見据え、そこから逆算して今しなければならないことをするようなことです。
先々の予定や計画を頭に置いて、私たちはいつも時間を引き算し、現在よりも何時間後、何日後に意識を向けています。

樋口さんは、認知症になってから、この時間の引き算に非常に苦労するようになったそうです。
現在の感覚があいまいで、日々の体調変化も大きいため、例えば3日後が締め切りだからといって今日は全体1/3の量をやればいいという単純な話ではなくなってしまった。
この引き算の時間は「時間が均一である」という前提のもとに成り立っているのですね。

一方で、足し算の時間というのは、植物が持っている時間です。

それは、太陽の動きに合わせて日々、少しずつ足していくという純粋に生理的な時間です。
晴れる日もあれば曇る日もあり、「この日までにこれだけの日光を浴びるのだ」なんて予め決めても仕方がありません。
未来が予測できなくても、今できることを少しずつ積み重ねて足していく。
足し算の時間での一日一日は、自ずと不均一になります。

私達は、コロナによって、終わりを予測できないものがあるという事実に改めて直面しました。
コロナ禍で植物に興味を持つようになった人が多いのは、そのことで多くの引き算の時間が機能不全になり、私たちの感覚が植物にシンクロしたのかもしれないと、伊藤さんは書いています。

確かに、私が普段意識している時間は、引き算の時間ばかりかもしれません。

1日は24時間で、何時にあれをする、それまでにはこれを済ませるということを、当たり前のようにしています。
それを均一にできない時に「自己管理ができていない!」なんていう考え方もありますよね。
それは多分、社会のかなりの部分が均一な引き算の時間を前提に動いていて、各々もそうあることが合理的だからだと思います。

でも、引き算の時間だけじゃなく、足し算の時間も自分の中には生得的にあるのです。
それを忘れないことって、大事なんじゃないかなーと思います。

ふたりの子ども、それぞれの時間

私には、ふたりの子どもがいます。
彼らの時間の感覚を観察してみると、それぞれの足し算の時間と引き算の時間に気づきます。

7歳の長男は、もうすぐ小学2年生。
決められた時間に合わせて動くことには慣れてきて、「時間を守らねば!」という強い気持ちを感じることがよくあります。
この1年で、時計を読んだり、時間の計算をしたりすることもできるようになりました。

彼の朝は大騒ぎ。
私や夫が「今は何時何分?」とか「あと何分で家を出るの?」と確認をすると、あと10分ぐらいのタイミングから「もう絶対に間に合わない!」と絶望した様子でベソをかき始めます。
話を聞くと、残っている支度は毎回3分あればできるようなもの。
「10分あるから大丈夫よ、間に合うよ」と声をかけて、やらなきゃいけないことを確認し、ひとつずつ終わらせて、出かける彼を見送ります。

彼の場合、出なきゃいけない時間も、それまでの残り時間もわかるんだけど、それまでに何をやらなきゃいけないかというGAP分析と、それにはどれくらいの時間が必要なのかという予測が、まだまだこれからなのかなと思っています。
私たちは、「あと10分!」って気づいた瞬間に「今日は朝ごはんはパス!」みたいな判断を自然としていますが、あれって実は複雑なことなんですね。
つくづく、引き算の時間は学習して獲得するものなんだなーと思います。

3歳の次男は、今この瞬間を生きる天才です。
過去の出来事はよく覚えているし、「この後あれしたい」といった主張も上手にしますが、時間の長さは意識していない、つまり、均一ではない時間を生きているように見えます。

彼は、朝、親が「もう保育園に行く時間だよ!」と言っても、「ブロックやってから!」とすごい大作を作り始めたりします。
逆に、「次の予定まで時間あるから、ここで10分ほど時間つぶしたいな」なんて親が思っている時でも、この場に飽きたから今すぐ移動したいわけです。
私は、そんな彼と時計との狭間でハラハラしながらも、彼のことをなんだか眩しく、羨ましく感じています。

だから、私に余裕がある時、彼と一緒に彼の時間を過ごせると、大きな喜びを感じます。

昨日は保育園が午前保育だけだったので、午後にふたりで温泉に行ったんです。
私は、温泉の駐車場に到着したら、とっとと受付を済ませて、早く温泉に入りたいのです。
その後のあれこれの段取りを考えるとここでの時間はこれくらい、という引き算をしているからです。
でも、彼は、駐車場の目の前にある小川が気になっていて、そこで生き物を見つけたいと思っている。
「早く行こうよー」と声をかけてみたものの、全然動く気配なし。
今日は別に絶対しなきゃいけないことがあるわけじゃなかったので、その後のあれこれプランは脇に置いておいて、彼と小川のほとりでしばらく過ごすことにしました。

彼のペースに合わせようとする時、体の使い方を彼に近づけることがポイントだという気がします。
彼の横に一緒にしゃがんで、彼と一緒に小川を眺め、彼と一緒に陽射しを感じ、彼と同じペース、トーンで話す。
そうしていると、自分の中に彼に流れる時間が取り込まれて、彼の足し算の時間を感じます。
それは心地よく満ち足りた、終わりを目指さなくてもよい時間です。
すごく地に足のついたような、今ここにしっかりつながっている感覚を持てている自分に気づきます。

この足し算の時間への切り替えのおかげで、その後の温泉も、いつもに増して気持ちよく味わえた気がします。
たぶん、立ったままで「早くー」と言っていたのでは、足し算の時間は感じられなかったんじゃないかなと思います。

知らないうちにカメラロールに追加されていた我が家の朝の風景
座り込む次男。さすがに私の脚は柵の間に入らなかった…

ネガティブ・ケイパビリティとコーチング

「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉をご存知でしょうか?
「事実や理由を性急に求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力」だそうです。
「分からないものを分からないまま、宙ぶらりんにして、耐え抜く力」とも表現されます。

逆は「ポジティブ・ケイパビリティ」。問題解決能力のことです。
学校教育でも、社会に出てからも、この問題解決能力が重要と言われ、一生懸命に鍛えてきた能力ではないかと思います。
でも、早く問題解決しようとすると、物事を単純化し、浅い理解で対処してしまいがちです。
そう簡単には解決できない複雑な物事に対して、深い理解をもって臨もうとする時、このネガティブ・ケイパビリティが必要になります。

「終わらせないでいられる才能」って、このネガティブ・ケイパビリティなんじゃないかなという気がします。

私はコーチングを始めてから、自分が、結論や問題解決に焦って飛びつきにくくなったと感じています。
それは、コーチングで扱う事柄の大半が、一般的な正解の無い問いであることと関係があると思います。

コーチングの中では、よく分からないことを「そうなんだね」とそのまま受け止めて、そのまま置いておくようなことがよくあります。
セッションの終わりに、「ここまで話してみて、何か気づいたことはありますか?」といった質問をよくしますが、それは結論を出すためではなく、分からないことも含めた今の状態を確認するための振り返りです。
別に、そのセッションの時間内で、何もかも分かる必要はないんです。
セッションが終わった後にも、自分の中にある「よく分からないこと」と一緒に生きることで、また新たに気づいたり、考えたりすることがあります。
そういうことが生きることを変えていくから、何かを実現できたり、成果を得られたりということにつながっていく。
そんな効果がコーチングにはあるように思います。

生きる上ではきっと、足し算の時間も引き算の時間も、ネガティブ・ケイパビリティもポジティブ・ケイパビリティも、どちらも必要なのだと思います。
私達の中には、すでにどちらもあるのです。
そして、それらは付き合いようによって、変化していくもののようです。

まず大切なことは、それらが「ある」ということに気づくことだと思います。

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BLOG 人生にコーチングを!

自分の言葉で話す人

私は、どんな方の人生にもコーチングがあればいいなと思っています。

でも、コーチングを経験したことのない方は、
「コーチングって受けたら実際にどんな変化があるの?」
と疑問に思っていらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、その疑問にお答えすべく、実際にみみをすますラボで継続セションを受けてくださったクライアントの声をご紹介させていただきます。

クライアントご紹介

今回ご紹介させていただくクライアントさんは、しっちーです。

しっちーもコーチングをやっていて、とあるコーチングの練習会で知り合ったのを最初に、その後もゆるくFacebookで繋がる仲でした。
私が「ホームページを開設しました」と投稿したところ、「コーチング受けたいです!」と一番に連絡くれたのがしっちーです。
あの時は本当に嬉しかったな。

しっちーには、月1回のペースで5回のセッションを受けていただきました。

クライアントの声

しっちーからは、こんな体験談をお寄せいただきました。

ほそかわさんと5カ月間の継続セッションをしました。
セッションを振り返り、ほそかわさんを選んで本当に良かったと思う点について。

当初わたしは成し遂げたい目的があり、それは自分一人の力ではできないと思い、成功させるため、5ヶ月の継続コーチングの申し込みをしました。

体験セッション時、
わたしの想いや目的を60分しっかりと聴いていただいた後
思いがけないことを言われました。

「その目的は本当にしたい目的なの? わたしにはそう感じ取れなくて
 せっかくならやりたいと思うことをやりませんか?」

本当に驚きました。
何に驚いたかというと、その言葉や内容ではなくて、
クライアントの継続セッションの要の部分を、
クライアントの為に否定したところです。
継続セッションの仕事がなくなる可能性があるにもかかわらず、
しっかりとクライアントに向かい合ったフィードバックをくれた事。

「この人のセッションなら 前に向かって進める」と心から思えました。

セッション前とセッション後の大きな違いは、
今後の自分の一生にとってかけがえない価値観を得られたことです。

ほそかわさんのセッションで特殊に感じたのが、
全5回の継続セッションの各回のテーマを 
体験セッションの時に決めてしまうところです。

おかげで、
各回のセッションのテーマを常に頭の片隅に置く生活がはじまり。

それにより普段の生活の中での行動がいつもと変わったり、
自分探求が自然に必然と行われたり等

そして、セッションの時に自分を深掘りして
ほそかわさんの誘いにより、
それまでの行動・これからの行動の真意に気づくことができる。

それを5か月間みっちりすることにより、
自分が本当に欲しかった価値観を手に入れられました。

セッション中のほそかわさんは、常に穏やかな表情で話を聴いてくださり、
フィードバックもほそかわさんの価値観や思いなどは反映させずに、
純粋に会話の流れで思ったことや感じた違和感などをフォーカスして、
新たな気づきを促してくれます。

ほそかわさんのコーチングのおかげで、
とても充実した波乱万丈な5カ月間を楽しく過ごせました。

実は、しっちーには「400字くらいで体験談を」ってお願いしていたのですが、書いてみたら、ところがどっこいの長さになったとのこと。
でも、嬉しいことばかりの内容なので、そのまま全文掲載させていただいてます!
しっちー、ありがとう!

私からのメッセージ

しっちーとのコーチングで特に印象に残っているのは、やはりそのテーマのことです。

しっちーは、「各回のテーマを最初に決めてしまうやり方が特殊だった」と書いてくれていますが、実はこれ、私にとってもしっちーが初の特殊ケースでした。
通常は、各回じゃなくて全体(全5回ならその5回通して)のテーマを最初に決めているんです。

しっちーにテーマを確認した時のことは、よく覚えています。

私が「この5回のセッションのテーマを決めたいんだけど、何か思い浮かぶことはある?」と質問すると、
しっちーは「5回ですか…」と少し考えてから、「開ける、覗く、潜る、拒絶、和解っていうのが浮かんできました」とつらつらと答えたのです。
私は「え!?瞬時にそんなの出てきちゃうんだ!」とびっくりしながら、「じゃあ、その5つをまとめるとどうなるの?」と質問を重ねました。
すると、しっちーはもう少し考えてから、全体テーマを「Reborn」と名付けました。

もう、この時点で、私はワクワクが止まらない状態です。
圧倒的世界観!
こんなにかっこよくて壮大なテーマで、今後もドラマティックな展開が予想されているわけです。
「わー、これからどうなっちゃうんだろう!」と、ただただ期待で胸いっぱい。

その後は、しっちーが書いてくれているとおり、しっちーは自分が最初に決めた各回テーマに沿って、自分を探求する濃い5ヶ月を過ごしたのです。
開けたり覗いたり潜ったりっていうのは、自分の中を探求するという意味ではイメージしやすい気がします。
でも、拒絶も和解も、本当にあったんですよ。
しっちーにとって必要な拒絶と、その先にある和解が、本当にあったのです。
セッションを始めた時には「5ヶ月後の状態なんて想像できない」って言ってたけれど、自分に必要なプロセスはちゃんとわかってたんだなーと思いました。

こういう、ゴールに向けてのプロセスを設定してから進めるやり方って、仕事をする上では割とよくあるやり方かもしれません。
例えば新しいプロジェクトを始める時、最初のミーティングでは顔合わせ、次は企画内容の確認とアイデア出し、その次にアイデアをまとめて、役割分担を決めて…みたいなことを予め計画しておくやり方です。

きっと、しっちーもお仕事でそういう進め方をすることがあるんだと思います。
でも、それを自分の言葉で表現できちゃうのが、しっちーだと思います。
その人やその人の世界は、その人の話す言葉でできていると聞いたことがあります。
この5ヶ月間、しっちー自身の言葉で、しっちー自身やしっちーの世界を探求することができたから、しっちーは「自分が本当に欲しかった価値観」をちゃんと手に入れられたんだと思います。

そう。しっちーは、自分の言葉で話せる人なんです。
しっちーが体験セッションの時に驚いたと書いてくれているエピソード、実は私はそんなに意識していなかったことなのだけれど(仕事がなくなるかもしれないなんて、微塵も思いつかなかった。笑)、きっと「あれ?今、自分の言葉で話してないな」と違和感があったのだと思います。

コーチングをしていると、自分の言葉で話すことを忘れてしまっている人に出会うことがあります。
そういう人とは、まずは自分の言葉で存分に話せるように関わっていきます。

でも、しっちーはちゃんと自分の言葉で話せる、とても魅力的な人です。
私はしっちーに興味津々です。
だから、これからも、堂々と自分の言葉で(もちろん言葉だけじゃないかもしれないですね!)世界と関わっていってほしいなと願っています。

さいごに

自分の言葉で話すことで、自分の世界を探求し、自分が本当に欲しかった価値観を見つけることができる。
見つけたその価値観は、その人の一生にとって、本当にかけがえのないものになると思います。

自分の言葉で話すって、簡単なようで難しいことです。
社会生活を営む上では、相手に正確に伝えるために、相手の言葉で話すことが求められるシーンが多々あります。
また、役割があれば、その役割に応じた言葉を話さなきゃいけないこともあります。

ただの自分として、自分のために、自分の言葉で話す。
そんな機会を増やしてみることで、その後の人生において大切な何かが手に入るかもしれません。

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BLOG コーチの道具箱

「経験学習サイクル」〜経験から学ぶプロセスのモデル

コーチングをする時、コーチは、コーチングスキルとは別に、セッションの中でちょっとしたツールを使うことがあります。
診断やアセスメント、フレームワークやワークシート、論理やモデルなどなど。
そういったものを使うことで、コーチングに新たな視点や情報を持ち込むことができるようになります。
そして、こういったツールには、自分のことを知る上で有益なものが多くあります。

この記事では、そんなコーチの道具箱より「経験学習サイクル」というモデルをご紹介させていただきます。

なぜ経験学習なのか?

経験学習とは、文字通り「自らの経験から学ぶ」ことです。

真正面から「経験から学ぶことが大切です」と言われると、「今更何をそんな当たり前のことを…」という気分になるかもしれません。
それぐらい、私たちは個々に異なる背景を持ち、異なる経験をしていて、そこから自分に最適な学びを得ていくことの必要性を感じているのだと思います。

ここで言う「学習」や「学び」は、かなり広い意味のものです。
いわゆるお勉強や、知識やスキルを得たり能力を向上させたりすることはもちろん、「自分自身がどんな人間か」を知り、更新していくことも含まれます。
私たちは、自らの経験に自分で意味づけをして、自分自身を定義しているからです。

日々の暮らしや物事に取り組む際に、何かを達成することは素晴らしいことですが、それだけが全てではありません。
そのプロセスで起きる、新しい何かを知ったり、学んだり、できるようになったりという変化や成長には、この先の人生に活きる価値があると、私は思っています。

そんな自分の変化や成長に意識を向けるために、この経験学習のプロセスを知ることは有効です。

経験学習サイクルとは?

経験学習サイクルとは、コルブによって提示された経験から学ぶプロセスのモデルです。

このモデルのポイントは、学習は経験の把握変換の組み合わせでできているという捉え方です。
縦の軸が、経験の把握です。これには、具体的、直接的に感じ取ることと、考えることでどんなことにも適用できる抽象的概念にすることの2つの方法があります。
横の軸は、経験の変換です。経験を学習に変換するためには、試してみることと、観察して気づくことの2つの方法があります。

この経験の把握変換の4つのステップからできているのが、経験学習サイクルです。

コルブの経験学習サイクル

この経験学習サイクルでは、経験からの学びは、①経験(具体的な経験)②内省(内省的観察)③概念化(抽象的概念化)④実験(積極的実験)でできています。

①まず具体的な経験があります。ここで大切なのはFeeling。今ここで起きている感覚や感情を味わいます。

②次に内省的観察。その経験を振り返り、経験の中で起きていたことを観察します。ここでのポイントは、発散=広げること。様々な視点から振り返ることで、気づきの種類も増えていきます。

抽象的概念化では、その経験の意味を考えます。このステップを「教訓を引き出す」と表現している本もあります。具体的な経験を、今後も活かせる概念やアイデアに取り込んでいきます。

④次は積極的実験です。ここまでで得たことを新たな状況に適応させるために「じゃあどうする?」を実行に移します。①具体的な経験との違いは、予め決めた上で試してみようとする(実験)という点です。

そして、④で起こした行動は新たな経験を生み、また新たな経験学習サイクルが始まります。

このサイクルを回すことで、人は経験から学んでいます。

それぞれの学習スタイル

繰り返しになりますが、この経験学習サイクルは、経験から学ぶプロセスのモデルです。
モデルというのは、複雑な現象を大きな枠組みで理解するための概念図です。
モデルを使うことで、自分の中で起きている複雑なプロセスを整理して、取り扱い可能な状態にすることができます。
なので、取り扱い可能な自分の情報を増やす=自分を知るためのひとつの視点として、この経験学習サイクルというモデルを使ってみることをオススメします。

コーチングをしていると、経験学習サイクルのどのステップを好み、どのステップを避けがちなのか、人によって傾向があることに気づきます。
これが、その人の学び方のパターン=学習スタイルです。
そして、その学習スタイルは、状況や取り組む内容などによって変わります。

まずは、この経験学習サイクルに照らし合わせて、様々なシチュエーションで自分がどのステップにいるのかを振り返ってみると良いかもしれません。

例えば、私の場合、基本的には②内省的観察が大好きです。
昔から、十分に思い巡らしたり、じっくり考えたりする時間が足りないと、イライラしてしまいます。
最近は、内省した内容はメモに書き留めています。複数のメモの間に意味やつながりを見出して③抽象的概念化しながら思考を深めている時は、とてもワクワクしています。
コーチングをしている時は、①具体的経験のステップにいます。今ここでクライアントとつながること、そこで起きていることを感じ取ることに喜びを感じます。
一方で、何かを計画的にやり遂げるようなことは、どうしても必要な場合以外は好んでやりません。

このように、4つのステップという切り口を持つことで、自分の学び方の傾向を観察しやすくなります。

経験学習サイクルとコーチング

時々、これからコーチングを受け始める方から、「どうすれば、コーチングをうまく活用することができますか?」と質問されることがあります。

もちろん、コーチングの活用法に決まりはありませんし、それぞれのニーズに個別に対応できることが一対一のコーチングの魅力だと思います。

でも、慣れないうちは手探り状態ですよね。
何か参考になる指針があると、試してみやすいかもしれません。

そういう時に、この経験学習サイクルをご紹介することがあります。

自分が避けがちなステップにコーチングを活用するのは、オススメの方法のひとつです。
自分ひとりでは普段やらないこと・やれないことに取り組むと、当然、今までとは違うことが起きるので、変化や成長を感じやすいものですね。

私の場合、「こうやってみよう」と予め決めて取り組むステップを避けがちです。
絞り込むことが苦手なんです。
例えば、「コーチング力を上げる」という目標がある場合は、自身のメンターコーチにフィードバックをもらいながら、課題とそのために取り組むことを一緒に決めて進めています。
そうすることで「これができた」「あれができた」が明確になるので、成長実感を得やすいように思います。

もうひとつのオススメは、自分の好きなステップにコーチングを使うことです。

内省大好きな私は、コーチと何かについて語り合う時間が大好きです。
視点を増やし、もっと広く、深く考えて、より多くの気づきを得る。
そうすると、ふと「あ、こういうことだ」というアイデアが降りてくることがあるんです。
私の新しい行動は、そういうアイデアから生まれるものが大半です。
そうやって生まれた新しい行動から、また新しい経験と学習が生まれます。

このように使い方は様々ですが、経験学習サイクルという視点が増えることで、コーチングを始めやすくなったらいいなと思います。

経験学習についてもっと知りたいという方は、書籍(最強の経験学習)やレポート(THE KOLB LEARNING STYLE INVENTORY 4.0・英文)を読んでみてくださいね。

経験から良い学びを得るために

とある研究によると、成人における学びの70%は自身の経験から、20%は他者の観察やアドバイスから、10%は本や研修から得ているそうです。

一方で、学習性無力感という言葉もあります。
これは、過去の経験から「こんなことをしても無駄」と学習してしまっている状態です。
やる前から諦めてしまうパターンですね。硬直化した組織でよく見られます。

私達は、良くも悪くも経験から学んでしまうものなのですね。

経験から良い学びを得るために大切なのは、「自分はこの経験から何を学んでいるのか」に気づくことではないかと思います。
そのためには、その経験や学びのプロセスについて、誰かと話をすることが有効です。
経験から学ぶためのパートナーとして、コーチをつけてみてはいかがでしょうか?

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